貧しい国はどうして貧しいままなのか?

貧しい国はどうして貧しいままなのか?
何百、何千兆円のODAは一体何を変えたのか?

何度もカンボジア渡航して聞いてみたら、多種多様な答えが返ってきた。

ある人は言う。
「南国って暖かいからさ、何もせずして農作物が取れちゃうんだよ。だから、国民の勤労意欲が育たないのさ。」
カンボジアアンコールワットからトゥクトゥクで30分あまり走れば現れるトレンサップ湖には、土地すら持てない100万人以上の水上生活者が暮らす。
彼らが気候の恩恵を受けられることはないが、そのことが勤労意欲を掻き立てているようには見えない。

「標高が低い国なので、洪水が起きるたびに畑の全てが流されるんです。」
確かに、頻繁に生じる洪水の被害は同国の農業に大きなダメージを及ぼしている。
しかしカンボジアより標高の低いオランダは、農業にITを取り入れて効率化に成功した。オランダはいまや世界2位の農産物輸出量を誇る。

「先の内戦の折に、知識人が淘汰されたので。」
この国は、世界中から優秀な支援団体(例えば日本なら、JETRO、JICA、NGONPO、BOPビジネスを手掛ける企業)がやって来て、手を差し伸べている。
それらで働く人材は、国際協力についての教育を受けた有能な人材だ。
しかし、そんな彼らが使命感に燃えても、活動の成果は芳しくない。

「政治家が無知なんですよ。国の発展のさせ方を知らないんです。」
カンボジア首相のブレーンは、内戦時に海外留学していた優秀な人たちだというのに?
そしてネットで拡散された「It's FAMILY AFFAIR」という記事。
これには各省庁のトップ政治家の多くが親族関係にあると指摘している。
彼らは、政略結婚をし、身内を重役に起用し、わいろと汚職が蔓延している。
これで私利私欲に走らず、合理的な決定ができるのだろうか。

「だって宗教が違うもの。キリスト教諸国と繁栄を比べるのは酷だよ」
仏教国が、その思想ゆえに発展できないというのはいささか無理がある話だ。
1970年代から日本は高度成長を経験し、その後をカンボジアの隣国・タイも追っている。

つまり、カンボジアの貧困の理由は、
気候でも、地理でも、政治家の無知でも宗教でもない。

問題は、政治・経済上の「制度」なのである。

という内容の下記の本がオススメ。
とても読みやすいです。
『国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源』
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(上述のカンボジアの事例は、私が見聞きしたもので、書籍とは無関係です。)